塩尻市役所の地方創生推進課で、副業限定の特任CMO・CHROを募集
- 全国から応募可・リモートワークOK
- ※募集終了
長野県塩尻市役所の企画政策部地方創生推進課は、副業限定で2つのポジションを募集する。仕掛け人は、「地域に飛び出す公務員アウォード2013」で大賞を受賞するなど、「日本一おかしな公務員」と呼ばれ、メディアからも注目を集めている山田崇さんである。
募集ポジションは特任CMO(最高マーケティング責任者)と特任CHRO(最高人事責任者)である。特任CMOは、塩尻市の魅力を全国に発信するために、プロモーションも視野に入れたブランド戦略を立案する。特任CHROは、市内中小企業の人材に関する課題解決のために、塩尻市の担当が描いた戦略や戦術に対してアドバイスを行う。固定報酬に加え、塩尻市内の全17のワイナリー(※)から今回のために特別にセレクトしたスペシャルワインセットが贈呈される。
募集要項はこちら
塩尻市は日本の「地方」課題の見本市である
塩尻市シティプロモーション担当の山田崇(やまだたかし)さん
塩尻市は長野県のほぼ真ん中、諏訪湖の西方に位置する、人口約6万7,000人の市である。太平洋と日本海からほぼ等距離にあり、かつて塩売りが歩いた塩の道の終着地であることから塩尻の名が付いたともいわれる。ワイン用のブドウ生産量日本一を誇り、市内には17のワイナリー(※)があるほか、レタスやそばの生産、木曽漆器といった伝統工芸などの魅力も数多い。また、奈良井宿は中山道の67ある宿場町の江戸から34番目に当たり、古くから交通の要衝として、人やモノ、情報が行き交う拠点となり栄えてきた。
「塩尻市が『知の交流と創造』をブランド・アイデンティティとして掲げているのは、塩尻の地が伝統的に果たしてきた役割が現代にも脈づいているからだともいえます」
そう語るのが、塩尻市の地方創生推進課でシティプロモーションを担当する山田崇さんだ。山田さんは2015年に今のポジションに就いて以来、本業の市職員として働く傍ら、プライベートな時間を使い、地域課題解決のために、さまざまな取り組みを行ってきた。たとえば、空き家問題を解決するために、実際の空き家を自ら借りて当事者となり、シャッター商店街を復活させるプロジェクト「nanoda(なのだ)」や、長野県地域全体の移住希望者を増やす「信州移住計画」などがある。山田さんが持つ、公務員の枠を超えた珍しい発想と行動力が「日本一おかしな公務員」と言われるゆえんでもある。
「塩尻市は、“実験”するのにちょうどいい規模感のまちなんです。市民の反応が見えやすい距離感。日本には人口5万〜10万人の標準的な規模の市が約300あり、塩尻市もその一つです。人口減少、空き家問題、森林問題、就労問題など、ここで起こる地域課題は、日本のほかのどこでも起こりうることなのです。塩尻市で“実験”して解決の糸口が見つかれば、日本中の自治体へ展開できる可能性を秘めています。また、塩尻は通信インフラを整備し、地域住民の協力を得ることで、数々の実証実験の地に選ばれてきました。私は、この塩尻の地でさまざまな課題の解決に挑戦していくこと自体が、塩尻市のプロモーションになると考えています」と山田さんは語る。
地域課題の解決には、地域外の人との協業が必要
山田さん(左)と、地域おこし協力隊の横山暁一(よこやまあきひと)(右)さん
現在、政府も副業・兼業を推進するようになり、大手企業でも副業解禁が進んでいる。そんな中、「自治体としても、市の職員として雇用するだけでなく、外部から副業として市の仕事に関わってもらい、協業する時期に来ていると考えました。なぜなら、市が取り組む地方創生や民間との共創事業には、民間企業で活躍されてきた方の力や新たな視点が必要だからです」と、山田さんは今回の募集の背景を話す。
もとより、塩尻市では副業可で「地域おこし協力隊」を委嘱している。地域おこし協力隊は、自治体が募集し、地域のブランド化や、地場産品の開発・販売・プロモーション、都市からの移住・定住のサポートなどに従事するもの。現在、全国に約5,000人の隊員が活動している。大手人材会社に籍を置きつつ、副業として週2日、地域おこし協力隊の活動をしている横山暁一さんもその一人だ。
「私のミッションは、地域の経済団体である塩尻商工会議所の会員企業約1800社に対して、人材獲得の支援を行い、中小企業の人手不足を解消すること。また、塩尻市に移住したいという人がいたときに、どうやって雇用と結び付けていくのか、という課題にも取り組んでいます」(横山さん)
今回の副業人材に期待することを山田さんはこう話す。「移住して市職員として働くのではない、副業の利点は、帰る場所があること。私としては、失敗をおそれず、今まで培ったスキルを活かしつつ、本業の職域ではできない領域に、本業ではできない戦い方で、大いに挑んでいただきたいと思っています」
※ワイナリーの数は2019年11月26日現在の数です