先延ばしの心理メカニズムと絶対に先延ばししない対処法とは

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やるべきことを先延ばしにしてしまうことはありませんか? シカゴにあるデポール大学で心理学を専門とするジョセフ・フェラーリ教授を含む教授陣は「成人の約20%が自分を“先延ばしの常習犯”だと認めている」という調査結果を発表しています。

To Stop Procrastinating, Look to Science of Mood Repair   >>記事元

日本においても同じように感じている人は多いのではないでしょうか。

物事を先延ばしにする人は、困難な仕事を前にして不安に駆られると、Facebookのサイトを見たり昼寝をしたり、何か他のことをして気分を紛らわそうとすることが多く、研究者はこの習慣を「快感を味わうための妥協」と呼んでいます。目の前にある困難から逃避して、刹那的な「快楽」を選択してしまうのです。ただし先延ばしをしてしまったことにより、締め切りに間に合わなくなったり、土壇場で慌ててしまいミスを犯したりするなど、結果的にはさらに苦しい状況になることは周知の事実です。

習慣化コンサルタントの古川武士氏の著書『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』から、先延ばし癖をなくすための対処法について代表的なものを紹介したいと思います。

まず先ほど述べたように、気が重い仕事はつい先延ばししたくなります。なぜなら目の前の仕事が苦痛だと感じるからです。苦痛の理由は、複雑さ、不得手、面倒、不安から来るようですが、「チャンクダウン」と「ベビーステップ」によってそれらの8割以上を解消できると著者は説いています。

仕事をチャンクダウンする

まずチャンクダウンとは、やるべきことを小さく分解し、はっきり具体化することです。お肉を食べたいとき、牛1頭(チャンク=塊)を目の前に連れてこられても食べられませんが、食べやすい大きさにカットされていれば口に入れることができるという考え方です。

もう少し具体的なパターンを紹介します。

(1)複雑な仕事

提案書や報告書など、いつも繰り返す複雑な仕事は、毎回ゼロから考えるのではなく可視化することがポイントです。例えば提案書作成の過程において 「しなければならないこと」、そして「それにかかる時間」を書き出せば、考えるエネルギーが不要になり心理的負荷が減るといわれています。

(2)面倒くさい仕事

面倒くさい仕事は、自分に苦手意識があったり、同じことの繰り返しで退屈だと感じていたりする仕事です。しかしその面倒くささは、チャンクダウンすることで軽減できるそうです。例えば1日5件の訪問を思い出しながら日報を書く場合なら、

  1. 1件1件、営業訪問するたびにICレコーダーに吹き込む
  2. 帰社後、内容を取りあえず箇条書きで書き出す
  3. 文章としてつなげる

という作業を習慣づければ、面倒な作業も効率的に進めることが可能になります。

(3)初めての仕事

初めての仕事のチャンクダウンは、「情報収集」と「プチ体験」が重要です。まず経験者から「情報収集」して未知を既知に変え、同僚や先輩に協力してもらって「プチ体験」(ロールプレイング)をします。そうすれば不安は課題に変わり、課題は対策に変わるということです。

ベビーステップで始めてみる

ベビーステップとは文字通り赤ちゃんの1歩のように小さく始めるということです。通常は行動する前になんらかの結果を設定し行動をスタートさせますが、これを簡単なステップにしたり、短い時間に設定することで気持ちの重さが消えるということです。つまり思考の配線を組み替えるわけです。そしてそこには、2つの視点が重要となります。

(1)時間を限定する

まずはゴールを完成状態ではなく、「時間」とします。そうすればプロセスに集中できるといいます。大切なのは1歩をどんどん積み重ねること。本当に気が乗らないときは5分、苦手な作業などは15分、重要な仕事は90分をゴールに設定するなど、時間で区切って行動するのです。

(2)難易度を下げる

ゴールの難易度を下げることも重要なポイントです。例えば片付けを例にとった場合、「すべての部屋を完璧に片付ける」のではなく、「1つの部屋だけ片付ける」「キッチンだけ片付ける」などがそれにあたります。ハードルを下げれば、それだけ取り掛かりやすくなるわけです。

いかがでしょうか。上記のアクションにより先延ばしの原因となっている心理的な負担を取り除いてみませんか。

最後に心理学者のニール・フィオーレ氏は「先延ばしは、鍛え直したら治るような『なまけ病』ではありません。先延ばしとは、タスクや決断に関する不安に対処するための心理メカニズムです」と語っています。つまり、先延ばしは人間であれば誰でもやってしまうものです。よって、その罪の意識に苦しむ必要はなく、そのメカニズムを理解し、自分なりの適切な先延ばしの対処法を探すことをお勧めします。

[ 執筆 ]菊池龍之(株式会社コヨーテ代表取締役)

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