執行役員とは?取締役との違いや仕事内容をわかりやすく解説

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アメリカのコーポレートガバナンス強化の流れを受けて、日本企業でも1990年代後半から執行役員制度を導入する企業が増えていきました。
しかし、執行役員がどのような立ち位置で何のために機能する存在なのか、実態を理解している人は意外に少ないかもしれません。

今回は執行役員と取締役など他の役職との違いや、執行役員として他社で活躍するために重要なポイントについて紹介します。

INDEX(読了時間9分)

執行役員とは? どんな役職なのか

執行役員とは、経営の決定事項や方針を実行する役割を担う、事業運営トップの役職です。
ただし、会社法や商業登記法で定義がされているわけではないため、法律上では従業員の位置付けとなります。

したがって執行役員は、取締役会での経営方針の決定や審議事項の決議などに関与する権限は持っていません。取締役会が決定した経営方針に基づいて、事業を統括しながらその実行の役割を果たします。

経営の意思決定と実行を切り分けることで、決定された方針の実行スピード向上や現場への集中力を高めるために、企業は執行役員というポジションを設定しています。

執行役員と取締役など他の役員との違い

執行役員と似た役職として「取締役」「執行役」「監査役」が挙げられます。

但し、まず大きな違いとして、これらの役職は会社法で定められている「役員」であり、執行役員のように雇用契約で結ばれた従業員ではありません。
そのため、執行役員は、役員という名称はついているものの、法的な意味で他の役員とは明確に異なるという点を理解しておきましょう。

それぞれ執行役員との違いを詳しく解説していきます。

取締役とは

事実上会社で最高の意思決定者であり、経営方針などの重要な意思決定の責務を担っています。先に述べたように会社法で定められる機関で、株式会社であれば1名以上の取締役を設置しなければなりません。取締役の意思決定や監督のもと、執行役員がその方針の実行を担うという関係をとります。

執行役とは

指名委員会等設置会社において業務執行する役割を担います。

取締役が決定した方針に従って業務を執行するという役割は執行役員との共通点になりますが、執行役員は会社と雇用関係を持つ従業員に該当するのに対し、執行役は会社からの委任関係にある機関として扱われます。

また執行役員のように会社によって任意で設置するのではなく、会社法によって設置が義務付けられている役職です。

※指名委員会等設置会社…会社経営を監督する取締役と、業務執行する執行役を分離した株式会社のこと。取締役会の中に社外取締役が過半数を占める委員会を設置し経営を監視することで、ガバナンスの強化や経営の透明性を高める目的がある。

監査役とは

取締役・会計参与の職務の執行を監査する役割です。監査役は、先述の通り会社法上では役員に該当しますが、非公開会社(株式譲渡制限会社)である場合、設置は義務付けられていません。
監査対象は業務監査と会計監査が主で、会社の法令順守やコンプライアンスに問題がないかなどをチェックします。

執行役員の選任とその契約内容は?

執行役員は、一般的に取締役会決議で選任されます。執行役員は役員ではありませんが、会社法第362条第4項第3号により「重要な使用人」に該当する場合が多いためです。転職の際も経営トップ層が最終判断をする場合が多いでしょう。選任判断の際に報酬、契約形態や任期などの条件も経営トップ層による審議にはかられることになります。

通常、執行役員は「従業員」として会社と雇用契約を結ぶことが多いため、報酬は賃金扱いとなり、前職の水準と転職先企業の賃金テーブルを考慮して決められます。なお執行役員報酬は一般従業員よりも高報酬になることが多いため、経営陣による投資対効果の観点で判断がなされます。

一方で、中には執行役員に対して委任契約を締結する会社もあるようです。
この場合は執行役員であっても従業員には当たらないため、就業規則や定年制などは適用されず、業務の裁量が比較的広いことが特徴です。専門性が認められ、会社側・転職者双方に契約を解約する権利があります。任期が定まっているケースでは、取締役会で会社と本人意向で定期的に任期の見直しがなされます。

契約内容は転職側にも受入れ側にも齟齬があると、後々のトラブルにつながることもあります。転職の際は慎重に内容を確認するようにしてください。

執行役員になるメリットとデメリット

執行役員を担うにあたり、代表的なメリットとデメリットを紹介します。

執行役員になるメリット

執行役員は事業遂行の責任者となるため、現場での裁量を持ちながら実行の采配を奮うことができます。意思決定からは距離を置き、現場レベルでスピーディーに事業を進められるのが魅力です。

企業観点でのメリットとしては、取締役と執行役員での分業体制により、効率的な企業経営を構築できる点が挙げられます。取締役は実行の負担が軽減することで意思決定に集中でき、執行役員は刻々と変化する現場のマネジメントに集中することができます。

さらに執行役員に就任することで、大きな責任に見合った待遇も期待できます。執行役員は事業運営のトップを担う役職になるため、企業側はそれなりの待遇を用意しているはずです。執行役員は従業員の扱いではあるものの、通常の賃金レンジに捉われない報酬などを交渉する余地はあるでしょう。

執行役員になるデメリット

事業の実行に携われるのが執行役員のメリットではあるものの、経営に関する意思決定に関与できないことがストレスにもなりえます。

取締役会で決定された事項そのものに異議を唱えたい場合でも、権限上決定を覆すのは難しいことが多いでしょう。
さらに立場上、執行役員は現場と取締役の板挟みにもなりやすくなります。実行過程でメンバーからも同じ不満が出た場合に、メンバーからすると執行役員は広義の‟経営陣“という見え方になります。

曖昧なポジションなだけに、現場と取締役会の橋渡しをする役割も担う点はやりがいでもあり、悩みの種にもなります。取締役と執行役員との役割分担を明確にして、あらかじめ周知するよう注意しましょう。

執行役員を目指す転職希望者の実態とは

執行役員を目指す人は、現職でもそれなりに重要ポジションに就き、裁量を持ちながら活躍している場合がほとんどです。

活躍しているからこそ、経営方針とのズレや意思決定プロセスの違和感など、前向きな不満が出てきて、転職を検討するようになります。もちろん、今の会社の変革なども試みるでしょうが、ハイクラスの人は時間にそれほど余力がないことが実情です。

そのため、自分のビジョンを速やかに実現できる他社があれば、ポジション含みで転職をするケースがあります。

また執行役員のような重要ポジションを担える人材は数が限られているため、直接ヘッドハンティングを受けるケースもあります。顕在的な転職願望はなかったものの、スカウトを受けて興味を持ち転職することも珍しくありません。

執行役員としての転職をかなえるには

現在の会社より活躍場面を広げたいという意向があれば、ハイクラスを専門にしている転職エージェントやヘッドハンターに相談すると良いでしょう。

特に、重要ポジションほど公に募集する企業は稀です。情報を公開せず水面下で採用活動をするため、ハイクラスの転職エージェントやヘッドハンターが情報を押さえている傾向があります。

明確な転職願望がない場合であっても、転職のプロフェッショナルと接点を持つのは有効な機会となるはずです。最新の転職事情などを知ることができるだけでなく、自分のキャリアの棚卸しや今後のビジョンを考えるきっかけとなることでしょう。

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執行役員が転職する場合の注意点

転職する際には、転職先と現在の企業の双方に注意すべき点があります。

転職先企業は、重要ポジションの候補人材については、経歴詐称などの身辺調査を含めたリファレンスチェックを実施するケースがあります。
これまでの職場の関係者などに働き方や人物像についてヒアリング調査を行う可能性もあるので、スムーズな人間関係を築くことを心がけてください。

現在の企業については、入社時の雇用契約を再度確認してください。入社時の誓約や就業規則に「競業避止義務」が含まれている場合は、企業は所属企業の不利益となる競業行為を禁ずることができます。
同業他社への転職禁止に同意している場合は、「退職金の支給制限」「損害賠償の請求」などのトラブルにつながる可能性があります。

規則がない場合でも、現企業の「秘密保持義務を厳守する」「現職の従業員や顧客を引き抜かない」などは、ビジネスパーソンとしての基本です。
現職企業へ迷惑をかけないことは最低限遵守するよう心掛けてください。

執行役員に求められる能力とは

執行役員として事業に参画する人材には、大きな期待がかかります。一般的に求められる能力を「スキル」と「スタンス」に分けて紹介します。

スキル面で求められること

執行役員は事業運営のトップにあたるため、企業側は即戦力を求めるケースがほとんどです。「同ポジションで、過去にどんな実績があるか」をもとに即戦力の判断をされるため、自分の実績を客観的に棚卸しするようにしてください。

実績だけでなく、意思決定におけるポイントやリーダーシップを発揮したエピソードも必要です。役職者としての判断力や率先遂行力を伝えることができれば、転職先でどのような働きぶりをするかが想像してもらいやすくなります。

スタンス(メンタル)面で求められること

執行役員などの人材募集の際は、事業上に何かしらの「変革」が求められることが多いです。そのため、転職先のみならず事業を通じて社会にどのようなインパクトを与えたいかビジョンを示す姿勢が重要です。

また、転職先の既存経営陣に仲間入りをするため、異なる風土に耐えられる強いメンタルも期待されます。強靭さを示すことも大事ですが、多少の軋轢をしなやかに乗り越えられるレジリエンス(弾性)も昨今求められやすいポイントです。

執行役員は業務遂行の重要な役割。転職で就任するならよく検討を

執行役員は、業務遂行の第一線が担えるやりがいのあるポジションです。

ボストン大学教授のダグラス・ホールが提唱した「プロティアン・キャリア理論」は、キャリアは組織よりもむしろ個人によって作り出され、個人のキャリアを作るには、変化と自己発見を繰り返すことが重要だという考え方です。今の企業内にとらわれず、新たなステージで個人の‟WILL”を探るのはハイクラスらしいチャレンジといえます。

ただし、現在の企業でも大きな期待を担われている場合は、慎重な姿勢も必要です。大きなチャレンジを無駄にしないよう、活動はキャリアの専門家のアドバイスを有効活用することをおすすめします。

転職で執行役員を目指す場合は、ヘッドハンティングサービスやエグゼクティブの転職に実績を持つ転職エージェントを活用してはいかがでしょうか。
非公開求人の紹介を受けるチャンスが広がるため、希望の求人に出会える可能性が広がるはずです。

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