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変化の激しい時代ーー。目の前の変化に対応するばかりでは時代に翻弄され、培ったスキルやノウハウは一瞬にして陳腐化してしまいます。組織は自発的に新しいアイデアに挑戦し、常に学習し続けなければなりません。
そんな「学習する組織」を作るにはどうすればよいか。日々の仕事に追われる既存の組織をどう作り替えればよいかーー。編集部は、こんなテーマで約50名のビジネスパーソン読者らと議論するイベントを開催しました。
本記事では、イベントに参加した学習に意欲的で組織マネジメントに長けた方々が推薦する「学習する組織」に関する書籍の中から、6冊をご紹介します。組織全体で個人の学習効果の総和を超えるためのきっかけを掴んでください。
『学習する組織――システム思考で未来を創造する』 ピーター・M・センゲ 著

学習する組織とはどのようなものか。それを体系的に理解できるのが、「学習する組織」という理論を世に広めた人物である、MIT上級講師のピーター・M・センゲ氏が書いたこの本です。
センゲ氏いわく、学習する組織は次の5つの要素から成ります。学習の機会が足りていない、メンバーによって成長にバラツキがある・・・ そう感じている方は、ご自身の職場と照らし合わせてみてはいかがでしょうか。
- 自己マスタリー:ビジョンを達成するために絶えず自己研鑽を続けているか
- 共有ビジョン:自分と組織のビジョンを切り離すことなく捉えられているか
- システム思考:組織という生命体の成長を抑制するパターンを見抜いているか
- メンタルモデル:行動に影響を与える自らの固定観念を内省し改善しているか
- チーム学習:対話を通して学習を引き出し、個人の力を総和を超えられているか
『トランジション――人生の転機を活かすために』 ウィリアム・ブリッジズ 著

先述の通り、学習する組織には一人ひとりの「自己マスタリー」が欠かせません。しかし、常に前向きに自らを研鑽し、変化し続けられる人というのはごく一部でしょう。
中には、この本の題名にもある「トランジション」、日本語で言うところの「過渡期」に、自分を変化させたい気持ちと、変化を恐れる気持ちとの間で葛藤する方もいるかもしれません。
欧米のキャリア開発の世界で定評のあるウィリアム・ブリッジズ氏は、学習のきっかけである「人生の転機」を、
- 第1段階:何かが終わる
- 第2段階:ニュートラルゾーン
- 第3段階:何かが始まる
の3段階と捉えています。
痛みが伴う第1段階と「Unlearn」の機会として向き合い、第2段階で一人になれる時間と場所を確保するなど6つのアクションで内省し、第3段階の新たな始まりには抵抗が伴うことを理解して地道な積み重ねを行うーー。
このステップを経ることで、人は過渡期を突破し、新たな学習を始めることができるのだそうです。
自分自身が変革するプロセスが書かれている。より深い自己マスタリーの探求につながる(30代・男性・ITベンチャー)
『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』 ウォーレン・バーガー 著
では、効果的な組織学習とはどのようなものでしょうか。この本の著者であり、数多くの起業家をインタビューしてきたジャーナリストのバーガー氏は、成功している企業を率いるビジネスリーダーは、共通して卓越した「質問家」だと言います。
業界の既成概念、自社の習慣、自分たちが定めた前提条件の有効性・・・ それらに対する問いに取り組む組織が、活力に溢れ、競争相手よりも先に新しい機会や可能性を見い出すことができるとしています。
そのような問いに気づくための方法として紹介されているのが、「デジャヴ」の反対、「ヴジャデ発想法」。問題となる状況や人びとを、なぜ彼らはこれをこのやり方でやっているのだろうと観察し続けることから、偉大な問いは生まれてくると。
本著ではそのことを、Airbnb創業者の事例などを交えながら解説しています。
学習する上で特に大事なのは、答えを出すことではなく、適切な問いを発することを学ばせてもらった(20代・男性・鉄鋼業界)
『「教えないから人が育つ」横田英毅のリーダー学』 天外伺朗 著

イベントのある参加者は、学習過程にある人を上司などが「評価」することが、その人の学習を阻害すると言いました。上司の評価に沿うための学習は、自己マスタリーや共有ビジョンを歪めてしまいかねないからです。
本著は、高知県の自動車ディーラー「ネッツトヨタ南国」を、リーマン・ショック直後に苦戦を強いられてきた自動車業界の中でも売上を伸ばし続ける企業体質に育て上げた経営者、横田英毅氏の講演の内容をまとめた一冊。
横田氏は、社員の「フロー状態」を作り出すことこそ経営者の使命と捉え、リーダーが指示を出さなくてもメンバーが自発的に学習するようになる組織作りを実践したそうです。そのために量=目標ではなく、質=目的。顧客満足度よりも従業員満足度を重視。
まさに「言うは易く行うは難し」である、学習する組織作りの実話に触れてください。
評価・判断をしないことから学び(=主体性)が生まれることが具体的に書かれています(30代・男性・NPO)
『1940年体制ーさらば戦時経済』 野口悠紀雄 著

組織を作り変えるにあたっては、組織にある既存のシステム思考やメンタルモデルを理解する必要があるでしょう。
この本の著者である野口氏は、今の多くの「日本型」組織は1940年代の太平洋戦争への準備期に作られており、その目的が「戦争」から「高度成長」に代わった後でも機能し続けたことで、現在に至るまでそのことが影響をおよぼしていると警告します。
組織を変革する前に、今の組織、日本のルーツを知る上で読んでみてはいかがでしょうか。
『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』 ジム・コリンズ、ジェリー・I. ポラス 著

最後は、名著で締めくくります。著者はビジョナリー・カンパニーを「業界で卓越している」「見識ある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている」「社会に消えることのない足跡を残している」「CEOが世代交代している」「主力商品・サービスのライフサイクルを超えて繁栄している」「1950年以前に設立されている」と定義します。
GE、P&G、ウォルト・ディズニー・・・ このような優れた企業が生存するために則ってきた法則 ー「企業そのものが究極の作品と考える」「現実的な理想主義」「基本理念を維持し、進歩を促す」「生え抜きの経営陣」などー は、学習するトップとフォロワーを輩出する組織作りの法則とも捉えることができるでしょう。
一人のカリスマ経営者ではなく、組織全体が学習し、その中からトップが生まれるから、企業組織は存在し続けることができるのかもしれません。
急成長する組織においては、組織からトップが生まれ、共通する行動指針の元に実行される(30代・男性・ベンチャー経営者)
その他、紹介されていた書籍
- システム思考をはじめてみよう
- もっと使いこなす!「システム思考」教本
- V字回復の経営ー2年で会社を変えられますか
- ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ
- チーム・ダーウィン 「学習する組織」だけが生き残る
- 無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい
- U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
- なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?–数千年に一度の経済と歴史の話
いかがでしたか? ピンときたものから手に取ってみてください。
【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
▼会社は真面目に経営されるほど「学習しない組織」になってしまう
時代の変化に強い、学習する組織の創り方をご紹介します。
https://mirai.doda.jp/theme/lo/3-approaches/
[文] 岡徳之
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